膣イキは医学用語ではありません
膣イキは、日本語のインターネット上で広まった言い方で、医学の教科書に出てくる用語ではありません。おおまかには「挿入されている状態で達すること」を指して使われますが、誰が言っているかによって意味の幅がかなり違います。「挿入だけで達すること」に限定する使い方もあれば、「挿入中に達すればクリトリスへの刺激を併用していてもよい」とする使い方もあります。
この曖昧さは、検索して比べるときに厄介です。ある記事の「膣イキできる人は◯%」という数字と、別の記事の同じ表現が、まったく違う条件を数えていることがあるからです。数字を見て落ち込む前に、その記事が何を数えたのかを確かめてください。
膣の内側は、感覚の分布が均一ではありません
身体の側から見ると、膣の内壁は全体に同じように感覚があるわけではありません。入口に近い部分には神経の終末が比較的多く、奥に進むほど、触られた位置を細かく区別する感覚は乏しくなります。奥のほうは、触れられていること自体よりも、圧されている・引かれているといった深い感覚として届きやすい部位です。
また、外から見えるクリトリスは全体のごく一部で、内部では左右に脚のように広がり、膣の入口を挟むように分布しています。つまり「膣で感じる」とされている感覚の一部は、この内部の構造への刺激として説明できる可能性があります。膣とクリトリスは、感覚のうえできれいに分けられるものではありません。
この構造を知っておくと、「中では感じないのに外では感じる」ことが不思議でも異常でもないと分かります。詳しくはクリイキとの違いと膣で感じないで扱っています。
呼び分けは身体の区切りではありません
膣イキ・中イキ・奥イキ・クリイキ・ポルチオといった呼び分けは、検索されている言葉としては確かに存在します。しかし、身体の内側にその境目が引かれているわけではありません。同じ刺激を受けても、その日の体調、緊張の度合い、痛みの有無で届き方が変わります。昨日と今日で違うことのほうが普通です。
言葉が増えると、どうしても「まだ経験していないもの」が増えていくように感じます。ですが増えているのは言葉であって、達成すべき項目ではありません。
できないことが異常を意味するわけではありません
挿入だけで達する経験を持たない女性は、決して少数派ではありません。むしろ、クリトリスへの刺激を併用したほうが達しやすいという報告のほうが一般的です。ですから「膣イキできない」は、身体の異常ではなく、条件がまだ揃っていない、あるいはその人の身体ではそちらの経路が使われにくい、というだけのことが大半です。
ただし、痛みがある場合は別です。痛み、出血、性交のたびに続く違和感は、感じ方の問題ではなく身体の側のサインであることがあります。この場合は「感じるようになる方法」を探すより先に、婦人科でご相談ください。挿入が怖いのページにも書いています。
よくある質問
膣イキと中イキは同じ意味ですか。
ほぼ同じ意味で使われることが多いですが、話し手によって範囲が違います。「挿入だけで達すること」に限る使い方と、「挿入中に達すればよい」とする使い方が混在しています。詳しくは中イキとの違いのページで整理しています。
膣の中には感覚がないと聞きました。
まったくない、というのは言い過ぎです。入口付近には神経の終末が比較的多く、奥は位置を細かく区別する感覚が乏しい代わりに圧や動きとして届きやすい、という違いがあります。
何歳くらいから分かるものですか。
年齢で決まるものではありません。長く経験があっても分からない方もいれば、その逆もあります。年齢を基準に「もう分かっていて当然」と考える必要はありません。